コラム

2013年11月11日

基本的安心感の重要性

子どもを育てる上で最も大切なのは
「基本的安心感を育む」
ことだと思います。

基本的安心感とは、一言で述べるなら、
「無償の愛で自分が受け入れられている」
という安心感です。

幼少時にちょっとくらい悪いことをしても、反抗をしても、勉強ができなくても、そうした条件が満たされていなくても、心の奥では「親は自分を愛してくれている」「自分を受け入れてくれている」という安心感。
こうした感覚が植えつけられ、育てられた子どもには自信が芽生えます。
自信のある子どもが思春期に心の問題や病気を引き起こすことはほとんどありません。

一方、思春期に心の問題や病気を引き起こす子どもの特徴のひとつに、この基本的安心感の欠如があります。
それは、幼少時に虐待を受けた子どもや、親がアルコール依存症だった子どもばかりではありません。
できのいい子で、幼少時からいつもほめられながら育てられた子どもにも、基本的安心感が欠如していることがあります。
順調に育っているように見える子どもにも基本的安心感が欠如していることがあり、そうした子がしばしば拒食症になることがあります。

では、この基本的安心感を育むにはどのように育てればよいのでしょうか?

 


2013年11月11日

思春期医療とは何か?

思春期医療がなぜ難しいのか?
それは単なる病気の治療ではないからです。

病気の治療ではないなら、思春期医療とは何なのか?
思春期医療の本質とは、
『心を育む教育』
です。

「思春期外来とは何か?」というコラムで述べたように、病気だけをみるのではなく、人間そのものをみて、
“その子どもの持つ主体的な力をいかにして引き出すか”
“いかに成長に導くか”
これが思春期医療の本質です。

だから、難しいのです。
だから、時間がかかるのです。
単に病気を治すのではなく、心を育てるのですからすぐには変わりません。
時間が必要になります。

人は年を追うごとに人格が固まってしまい、なかなか変われなくなります。
老年期の人で、もし自分の考え方を変えることができる人がいたら、それだけで稀有(けう。「非常にめずらしい」という意味)なことです。
しかし、思春期の子どもには変われる可能性があります。
どんなに心が曇っているように見えても、どんなに心が歪んでいるように見えても、ガラッと変わる可能性があります。

その可能性を信じて、どのように教育し、育てるか?
これが思春期医療の本質です。
ですから、医者であっても思春期医療が難しいこともあれば、親や学校の先生が思春期医療を行えることだってあるのです。

『思春期医療とは心を育む教育である』
この本質を理解したとき、思春期医療は大きな実を結ぶことになるだろうと思います。

 


2013年11月11日

心の揺れを抑える方法②

心の揺れを抑えるためのもうひとつの方法は、
『子どもの心をじっと見つめる』
ことです。

目の前に表れている問題行動や症状ばかりを見ていると、心の揺れは止まりません。
「今日も学校に行かない」「またリストカットした」「急に暴言を吐いたり、暴れたりする」など心が揺れることばかりです。

そんな子どもと話をするときにあなたは、
「じっと子どもの目を見ているでしょうか?」
「子どもの瞳(ひとみ)の奥にある心を見つめているでしょうか?」
そうした質問をしてみたいと思います。

心は目に表れます。

子どもの目を見つめたなら、その心を見つめたなら、子どもの心はずっと同じ状態なんです。
例えば、自分に自信がなくて、不安で不安で仕方がない。
その気持ちが抑えられなくて、つい問題行動を起こしてしまう。
でも、その奥には本当はきちんとした行動をしたい。
楽しく、頑張っていきたい。

偽りの自己とともに、その奥には本当の自己のダイヤモンドの心がある。

ダイヤモンドの心があるとわかったなら、その心があることを認め、評価してあげることです。
「頑張りたいという気持ちがあるだけでも十分だよ」
「絶対にダイヤモンドの心がある。だから、今は本当にしんどいだろうけれど、必ずよくなる可能性があるよ」
そうした声をかけることができます。

偽りの自己に気がついたなら、その不安を癒してあげることこそが、親のできる最大の関わりだとわかります。

関わりの方向性が見えたなら、3週間~3ヶ月程度、意識して徹底的に行うことです。
このように方向性を持った関わりができるようになったとき、すでに親の心の揺れは収まりつつあるはずです。

心の揺れを止めるには、問題行動や症状よりも
『子どもの目をじっと見つめ、その心を見つめてあげる』
ことです。そして、偽りの自己の心を癒し、ダイヤモンドの心を肯定する関わりをしてあげることだと思います。

心を揺らさず、時間を耐えることができれば、子どもの目には変化が表れてくると思います。

 


2013年11月11日

心の揺れを抑える方法①

自分の心が揺れると、相手の心を揺らしてしまう。
子どもとの関係においては、特にそうです。
親の心が揺れると、子どもの心は大きく揺れます。

ですから、まず親が自分の心の揺れを抑えることは大事なことです。
では、心の揺れを抑えるにはどのようにすればいいのでしょうか?

自分の「できること」と「できないこと」を知ることです。
特に、今すぐにどうにかしたい!と思っても、
『今すぐにはどうしようもできないことは何なのか』
ということを知ることです。

人は説教したり、怒ったりすれば、すぐに相手が変わるのではないかと思っていることがあります。
カウンセリングに連れていけば、すぐによくなるのではないかと思っていることがあります。
お払いや祈願をすれば、すぐに良くなると思っていることがあります。
奇跡的に1%程度はそうしたことがあるかもしれません。

しかし、99%現実にはそうしたことは起こりません。
『多くの問題や症状は、すぐにはどうしようもないものだ』
ということを知ることです。

その上で、少しでも良くしていくためには何ができるのか?
「今の自分にできることは何なのか」を知ることです。

そのためには、ときには「良くする」ことではなく、
「今以上に悪い状態にしない」
ということを目標にすべきときがあります。
冷静に観察していると、子どもの状態はどんどん悪くなっている。
そんなときには、「今以上に悪い状態にしない」ということが最初に目指す目標です。

何とか良くしたい、すぐに良い結果を出したいという焦りの気持ちは、ときに子どもを思う純粋さを失って、関わる人自身の自我我欲になります。
関わる人の“我(あるいは自我我欲)”が良い思いとして、子どもの心に伝わるはずはありません。
むしろ、子どもの心をさらにざわめかせ、不安や恐怖、イライラや怒りを引き起こします。

そんなとき、「今以上に悪い状態にしない」ことを目標にすると、関わる親自身が自分を取り戻すきっかけをつかむことができます。
ふと自分こそが子供を追い込んでしまっていたんじゃないかと気付き、気付くことによって、これまでの関わりにストップをかけることができます。

すると、親の心にもゆとりが生まれます。
そして、そこからようやく本当に良くしていくための関わりができるようになるのです。

心の揺れを止めるために、自分の「できること」と「できないこと」を知り、ときには「今以上に悪い状態にしない」ことを目標にするという方法があるということを知っていただければ、何かのお役に立てるのではないかと思います。

 


2013年11月11日

子どもに問題が起きたときの心構え②

子どもに問題が起きたときに、ある程度あきらめて腹をくくることができたなら、次に大事なのは、
「心を揺らさない」
ことです。

問題が起こると、普通は心が揺れます。
いくら止めようと思っても、揺れてしまうものです。
それでも、心を揺らさないことがとても大事なことだと知ってほしいなと思います。

なぜ、心を揺らさないことが大事なのでしょうか?

問題が起きたときに、心が揺れているのは子ども自身です。
子ども自身どうしたらいいかわからなくなってしまい、心が揺れ続けています。
そんなとき、身近にいる親や先生らの心が揺れ、その揺れた心で関わりを持たれると、子どもの心はさらに揺れてしまいます。
すると、その子どもの揺れを見て、親や先生もさらに心が揺れるようになり…、お互いの心の揺れだけが大きくなってしまうという悪循環にはまってしまいます。

基本的に、揺れた心で関わるということは、その人の不安を相手にぶつけてしまうということです。
不安な心で発した言葉は、相手の心の不安を刺激し、言葉の中身よりも不安の感情だけが伝わってしまいます。
その結果、相手の心を揺らし、ざわめかせることになるのです。

 


本当の自分に目覚め、幸せに生きるダイヤモンドの心の医療