コラム

【うつ病】うつ病の本質と治療-「うつ病への対応②」-

2013年11月11日

うつ病の本質と治療-「うつ病への対応②」-

うつ病がどのような病気かということについては様々に論じられています。

現代において有力なのは脳の病気だという仮説です。
その主力となっているのはセロトニン仮説ですが、まだその実態は解明されていません。

この仮説の背景には、薬の開発とその効果があります。
1956年頃、偶発的に「イミプラミンという薬がうつに対して効果がある」とわかりました。
そのイミプラミンの作用を調べたところ、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどに作用することから、きっとうつ病はセロトニンやノルアドレナリンの異常によるものだろうと推測されるようになったのです。
これが脳の病気だと言われる所以ですが、それはまだ本当には実証されているものではないのです。

一方、臨床的な治療という観点から見た場合、うつ病の本質は
「活動エネルギーが低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態」
と考えられます。
脳のエネルギーがなくなり、集中力が落ちる、仕事でミスが多くなる、頭が回らない。
精神のエネルギーがなくなり、気力が出ない、何に対しても関心がなくなる、楽しめなくなる、気分が落ち込む。
身体のエネルギーがなくなり、すぐに疲れる、体がだるくなる。
このようにエネルギーがなくなることで、さまざまな症状が起きているのだとわかります。

こうしたことから考えると、うつ病の治療の基本は
① 脳内のセロトニンやアドレナリンの異常→「薬物療法」
② 活動エネルギーの低下→「休息」
だということがわかります。
これは殆どの心療内科医や精神科医が基本と考えている治療法です。

ただ一言付け加えるならば、この2つだけでは治療として不十分なことがあります。
もともと一般的なうつ病ではストレスによって生じてきているのであり、ストレスとストレスに対する捉え方やものの考え方がうつ病の発症につながっています。
ですから、このストレスを受けている“心”の部分に対してアプローチをしなければ根本的な解決にはなりません。

ひとつはストレスを排除することです。
例えば職場を異動したことでストレスを受けたのであれば、職場を元に戻すことを配慮し、ストレスを排除する。

またひとつはストレスに対する捉え方やものの考え方を変えることが出来るように導くことです。
例えば、ひとつの失敗も見方を変えると、次なるチャンスになることがあります。
「自分なんてダメで何の価値もない」と思っている人には、「誰にも本当は素晴らしいダイヤモンド心はあるんだ。ただあなたの場合、その力を引き出せていないだけなんだ」といった見方を話すことで、考え方を変えられることもあります。

このようにうつ病の本質について考えるとき、脳の故障、エネルギー論、心の問題といった多角的な角度から捉えることだと思います。
要するに、大切なのは常に「いかにすれば今、目の前にいるうつの方に良くなっていただけるのか」ということだと思います。

 


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