コラム

【うつ病】心の休息の方法-「うつ病への対応④」-

2013年11月11日

心の休息の方法-「うつ病への対応④」-

うつ病の治療原則は、薬物治療と休息です。
他にも認知行動療法や様々な試みが行われていますが、殆どの病院やクリニックでは薬物治療と休息を主体とした治療を行います。

なぜ、休息が必要なのか?
それはうつ病が活動エネルギーの低下した病気だからです。
エネルギーを回復させるために必要なのです。

では、どのように休息するといいのでしょうか?
それは
“怠け者”のように休む
ことです。
すると患者様にはよく
「えっ、そんなのでいいんですか?」
と言われます。
「そんなのでいいではなく、それがベスト。
怠け者のように何もしないで寝ているのがベストなんです」

「ずっと寝てばかりいたら仕事が出来なくなるんじゃないか」と心配して、必死で散歩に行ったり、ジムに行ったりして体を動かそうとする人がいます。
しかし、うつ病の最も状態の悪い時期は休息期であり、休むことが何よりも重要です。
『うつ病の人への関わり方』というコラムでも述べたように、40℃の高熱がある人が散歩したり、運動したりしてはいけません。
かえってエネルギーを消耗して病気を悪化させます。
40℃の高熱がある人は、怠け者”のように休まなくてはいけません。

この“怠け者”のように休むことの意味を理解したなら、うつ病の人に関わる人たちもどのように声をかければいいかわかるはずです。

「お前はうつ病なんて言って甘えているだけだろ。気合を入れてしっかりとやらないとダメじゃないか!」
このような声かけは論外です。

「無理せずに休んだら?」
悪くはありませんが、うつ病になった人の立場になって考えてみて下さい。
うつ病になった人はしばしば仕事を休むことに罪悪感を持っています。
「無理せずに休んだ方がいい」と言われても「気を使ってくれているだけではないか。本当は仕事をすべきだと思っているのではないか」と不安に思います。
この声かけでは本当の安心感を持ってもらうことはできません。

「“怠け者”のように休んで下さい。
怠け者のように何もしないで寝ているのがベストなんだから」
これがベストです。
ここまで言って初めて、本人は安心できるのです。

もちろん、徐々にエネルギーが回復して休息期から回復期に入ってくればリハビリとして運動してもかまいません。
ただうつ病になった当初は“怠け者”のように休息して下さい。

さて、休息の次のポイントは
「・・・しなければいけない」と思うことはやってはダメ!
ということです。

うつ病になるような人は大抵、「・・・しなければいけない」という考えに縛られています。そして、この「・・・しなければいけない」という考え方は自らにストレスをかけ、エネルギーを消耗させます。
休息がエネルギーの回復の目的にあるのなら、「・・・しなければいけない」と思うことはやってはいけません。

但し、「・・・したい」と思うことなら、やっても結構です。
「・・・したい」と思うことができるということは、やりたいと思えるだけのエネルギーが回復してきたということですから、やってもいいのです。

休息の3つ目のポイントは、
『心の居場所』を確保して休む
ということです。

「仕事を休む」=「休息している」という公式は必ずしも正しくありません。
以前に『心の居場所』というコラムで述べたように、仕事を休んで肉体を休めていても、家に『心の居場所』がなければ心の休息は出来ません。

もし会社から頻繁に電話がかかってくる、家族の理解が得られない、子どもがいて落ち着かないなどという理由で家に『心の居場所』を確保できないなら、入院するのもひとつの方法です。
うつ病の方が入院するのは必ずしも重症だからというわけではありません。
入院すればすべての情報は遮断され、休息することが正当化されます。
そこに『心の居場所』が生まれるのです。
『心の居場所』を確保して、心の休息をしてもらうために入院するのもひとつの方法です。

 


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