コラム

【思春期】問題の幹と枝を分ける②

2013年11月11日

問題の幹と枝を分ける②

子どもが問題を起こすときには、しばしばひとつだけではありません。
同時に、いろいろな問題を起こすものです。

例えば、学校に行かない、過呼吸を起こす、頭痛や動悸がある、家の中で暴れる、頭を壁にぶつけたり、リストカットするなどの自傷行為をする、「死にたい」と言う、昼間はずっと暗い部屋の中で寝ている、過食と嘔吐をする、昼夜逆転した生活をしている、夜中にずっと携帯やスマホをいじっている…などなど。
ひとりの子どもが、数多くの問題を引き起こします。

見方によっては、これらの問題はどれをとっても問題でしょう。
どれも何とかしなければなりません。

しかし、これだけ多くの問題を引き起こしているとき、その問題のひとつひとつに対して全部を対処しようとしてはなりません。
どれをとっても問題でしょうが、ある意味、これらの表面に表れた問題は氷山の一角であり、枝葉の問題です。
いくらそれらの問題だけを見て対処しようとしても、問題は解決しないものです。

仮にひとつの問題がなくなったとしても、根源にある問題が解決されなければ、また別の問題が出てくるだけです。
木で言えば、幹や根の部分の問題に関わらなければ、焼け石に水なのです。

ですから、これら枝葉の問題に対してはいずれ解決しなければなりませんが、たくさんの問題を抱えているときには、『半分目をつむる』ことがとても大切なのです。
目をつむるとは、“見逃しておいてあげる”ということです。
昼夜逆転していようが、夜中に携帯やスマホをしていようが、それらに対して賛成はしていないというメッセージだけを伝えて、それ以上は何も言わないでおくということです。

「では、放っておけということですか?」というご質問をいただきそうですね。
そうではありません。
こうしたたくさんの問題を抱えた子どもに対しては関わる場合、幹となる部分はどこなのか、その幹の部分に対してはどのようにアプローチすればいいのかというその一点に集中することが必要なのです。

幹というのは、その子どもの心の部分です。
「その子どもに安心感があるだろうか?」
「その子どもに主体性の芽は出てきているだろうか?」
何度も述べているように、問題行動の裏にある心の部分に目を向けることなのです。

例えば、本人の話を聞きながらしんどそうであれば、「いろいろあるけれど、今はゆっくりしていていいよ」と言ってあげることかもしれません。
何かほめられることがあれば「そうか、それはすごくいいことだね」と評価してあげることかもしれません。
そして、問題行動の中でも命に関わる行為であったり、他害行為であったり、どうしても認められない行動があったとしたら、その行動にだけは厳しく叱ってあげることも必要です。
そうした幹に関わる部分の1点に集中して関わることが大切なのです。

みなさんだってそうでしょう?
自分に問題があったとしても、「あそこもダメ」「ここもダメ」とダメ出しばかりされていると、うんざりしてしまいませんか?
あるいは、落ち込んで投げやりになってしまうかもしれませんね。
子どもだって同じです。

それよりも、そうした問題行動があってもなお自分のことを受け入れてくれている。
きっといろいろなことがわかっていても目をつむってくれている。
こうした細かな枝葉の問題は指摘せずに受け入れてくれているという部分。
そして、決して放置しているのではなく、その一方で、幹の部分に対しては真剣に関わってくれる部分。
こうしたメリハリの利いたバランスの中で、こちらの語りかける言葉は子どもの心に入っていくのです。

子どもという木を育てるときには、盆栽のように親が細かな枝葉まで整えるものではないように思います。
まず、幹と枝葉の部分を見極める。
そして、幹の部分に集中して、幹を育てるように働きかけるんです。
そうすると、問題のあった枝葉はいずれ落ちて、新たな枝葉が伸びてきます。
そのようにして、子どもは成長していくものだと思います。

 


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