コラム

どこまで摂食障害の人を抱えるか?②

2014年01月10日

昨日は医者としてだけでなく、人として摂食障害の人を抱えることの意義についてお話をしました。
実際に私自身、いろいろな摂食障害の人を抱えて治療に取り組んできました。
ただ私もこの問題についてはまだまだ考えることがあります。

「絶対に治したい」「助けてほしい」という人に対しては、どれほどに重症であっても手を差し伸べるのは当然だと思います。
医者によっては重症ということで自分の手に負えないと思うこともあるでしょうが、摂食障害の治療に携わる限り、手に負えないからということであきらめてはなりません。
手に負えないほど難しく感じるのであれば、全精力をかけて摂食障害について学び、創意工夫し、取り組むべきだと思います。
とはいえ、私もよくもこうしたことを言えるようになったなと思います。
「若き医者としての挫折」のコラムで述べたように 、私自身が一度は摂食障害の治療をあきらめたことのある医者ですからね。
だからこそ、自分自身の反省を踏まえ、また摂食障害治療の一端(いったん)が見えるようになってきた医者として言いたいのです。
「本人が助けを求めている限り、決してあきらめるな」と。
ドラマの「医龍 TEAM MEDICAL DRAGON」みたいですね。
「あなたがあきらめずに全力で戦おうとする限り、私も全力で戦う」といった気持ちです。

問題は重症でありながらも、治療に対して抵抗する人たちです。
本人が小学生や中学生など幼く、家族が何とかその子どもを助けたいという場合は、いくら治療に対して抵抗しようとも手を差し伸べなくてはならないでしょう。
ときには一時的に強制的な治療をすることになっても、その子どもを抱え込んで守らなくてはならないと思います。
子どもが幼い場合は、それまでとはガラッと変わって成長する可能性を秘めているので、抱え込むことによって根本的に治る可能性も高いのです。

しかし、本人がある程度の年令に達していて治療に対して抵抗する場合はどうでしょうか?
実はこれが最も難しいのです。
これについては次のコラムで考えてみたいと思います。


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