コラム

【うつ病】休息期と回復期の違い-「うつ病への対応⑩」-

2013年11月11日

休息期と回復期の違い-「うつ病への対応⑩」-

うつ病になって医者から仕事を休むようにと言われ、いざ仕事を休み始めても「体のために散歩くらいした方がいいだろう」と思って運動をする人がいます。
しかし、早く治したいのであれば、これは明らかによくない行動です。

うつ病とは、すべての活動エネルギーが低下した状態です。
だから、休息が必要になります。
それに対して、散歩はエネルギーを消耗させる行為です。

うつがひどいときに頑張って散歩をすると、さらにうつを悪化させます。
実際にうつにもかかわらず、無理をして散歩をしていたという人に
「散歩してどうでしたか」
と訊ねると、
「それがすごく疲れるんです。
疲れてしまって、その後何日かは気分もより落ち込み、まったく動けなくなりました」
と言われます。

うつ病にも時期や段階があります。
うつの最も状態の悪い時期というのは『休息期』です。
無理に「~しなければならない」と思って、散歩などの運動をしてはいけません。
“怠け者”のようにただひたすらに休息に徹することです。

一方、十分に休息して「退屈だな」「そろそろ何かしたいな」という気持ちになってきたなら、それはエネルギーが回復してきている証拠です。
『休息期』を終え、『回復期』に入ってきたということですから、むしろ散歩などの運動を積極的に行い、徐々に体力をつけていく時期です。

但し、まだエネルギーは十分ではありません。
『行動は自分のイメージしている7割程度に抑える』
ことです。

ここで調子に乗って頑張りすぎると、すぐに疲労感を感じます。
それに伴って再び気分の落ち込みなどを感じるようになります。
うつはよくなってきていたのですが、エネルギーが不十分にもかかわらず、頑張りすぎたことで一時的に、再びエネルギーがなくなったのです。

自分のやりたい行動の7割程度に抑え、無理をしないで運動を続けていると、徐々に体力も回復してきます。
この段階は、しばしば数ヶ月~半年程度かかることがありますが、決して焦らないことです。
焦らなければ、必ず時間とともに回復してきます。

治すためには順序があります。
家を建てるにも、まず土台を作り、その上に家を建てます。
もし土台が固まっていない状態で焦って家を建てようとすれば、その家はあるレベルで崩れてしまいます。

うつ病の治療でも、休息期に無理して本来は回復期に行うべき運動を行っていると、結局はうつをより悪化させることになります。
十分な休息によって土台を作り、その土台ができたことを確認した上で、運動というリハビリを行って体力を回復させ、健康を取り戻すことです。

「うつ病のときの行動は休息期と回復期で異なる」ことを知っていると、よりスムースな回復を目指すことができると思います。

 


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